「無駄だ、あいつに言ってる、流雨に口説かられても絶対女になるなって」

「そんなの流雨も分かってるよ、流雨はバカじゃねぇし」

「だったらなんでっ…」

「流雨の役職の権限、忘れたか？」

役職──…。

ありえない、という顔をする、ナナは、晴陽から手を離し。

「ふざけるなよ…」

「決めるのは流雨だ」

「あいつならやる…」

「だろうな」

「許可するなよっ！解放してやるんだろ!! なんでお前は、そう……」

と、もう一度瞼を下げた。

どこまでも、最悪の性格を持つ男。

「俺は柚李を逃がすつもりないからね。守ってあげてよ、あの子のこと」

守る──…。お前を含めて？

口角をあげた晴陽は、「明日、全員集めろ」とそう言い残しその場を去ったのだった。

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