第75話

帰り道、やけに高価な車のなかで血の着いた服から新しい服へ着替えている流雨に、御幸は聞く。



「明日、あの子、解放するらしいな」



ほぼ一日、拷問していたからか、車の窓の外はもう暗かった。

車の中に、血の匂いが充満する。

その匂いの中、御幸は眼鏡を拭いていた。



「約束だからね」


「約束?」


「一週間たてば、俺のにしてもいいって」



袖に腕を通した流雨は、嬉しそうににっこりと笑った。



「晴陽、これから霧島の事どうすんだろう?」


「さあ」


「また楽しくなるかな?」


「暴走族っていうのはそうでなくっちゃ面白くないよね」


「うんうん」


「殺してやるからかかってきなよ、俺は逃げも隠れもしないんだから」

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