yuri side

第67話

──柚李side



間違いであって欲しかった。

俺はずっと、守ってきてた。

だから、晴陽に言わたとおり、この暴走族にもはいった。それなりの役職を貰った。


その全てはお前のためだった…。

晴陽がついうっかり、あの時の出来事を、誰かに口を滑らさないために。



お前を守るために──…。


いいや違う、言えばよかったんだ。

事故でした、とか。なんとでも誤魔化しはできた。


いきなり噛んできたら正当防衛で石をぶつけた、そんなもの、何でも良かった。



これは俺の〝罪〟。










「…霧島…」



そっと、その後ろ姿に声をかけた。


霧島は誰もいないと思っていたのか、驚いた様子で後ろに振り向いた。



「どこ行くんだ?もうそいつは晴陽のお気に入りだし、怪我もしてる。ゆっくり寝かせてやれって言ってた総長の言うことが聞けないのか?」




こいつが行こうとしているのは、トイレでもない。

今1人で女は部屋の中にいる。その扉を開けようとしている霧島。



「いや…怪我酷いみたいだから」


「もう晴陽以外触ることは許されてない」


「…あいつの女になったの?」


「むりやり、だけどな」



なあ、霧島。

違うよな?



「…帰るよ、それなら仕方ない」


「待て」



扉から離れ、帰ろうとする霧島の腕を掴んだ。

ぴく、と、反応する霧島は、…俺の方を見る。



「どうした?ナナ…」


「霧島」


「ん?」


「ポケットの、中のもん、見せろ」




お前は、違うよな?

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