第66話

楽しみ?

楽しみでもなんでもない。

本音を言うと今すぐにでも殺したいのに…。

でもナナが俺のルナのためとか言うから。

晴陽が大人しくしとけっていうから。

イライライライライライライライラ。

俺の月を危ない目にあわせた〝罪〟は重いよ。





「でもなんで霧島は遊佐と手を組んだんだ?」


「…」


「理由は?」


「…」


「そのへんまだ分かんねぇなあ、晴陽なら気づいてんのかな?」


「…ねぇ、ほんとに帰ってよ。イライラしすぎて御幸のこと殺しちゃいそう」


「は、こわ」


「理由なんて知らないよ、でも絶対に両腕は切るって決めてる。シャーロットと同じように殺してやる…」


「なあ、るう」


「…なに」


「はるぴが月ちゃんのこと気に入って、解放しなかったらどうする?」


「……あ?」


「もしも、な?」


「…」


「睨むなよ、もしじゃん」


「…」


「もしも」





もしも、晴陽が月を解放しなかったら?

ずっとずっと、あの部屋に閉じ込める…。


いやそれでもいい。

ずっと、俺のそばに置いておきたい。

閉じ込めたい。



「…俺の権限使ってでも、月は俺のにするよ」




もっていたティーカップの中の紅茶全て、喉の奥に流し込んだ。

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