第61話

その数分後だった、柚李が部屋の中に戻ってきたのは。



「とりあえず今日と、明日は来ない」



ベットに腰掛け、煙草を吸っているハルヒにそう話しかけた。誰が来ないか分からない…けど、っていうかこの人たちの話の内容はさっぱり分からなくて……。



「じゃあやるなら今日の夜だな」


「…ふりだろ?」


「ドア開けてすんだから、真面目にやるよ。ナナより俺の方が立場的にいいし」


「流雨も分かってた…。霧島だって。夜中に思い出したらしい」


「何を?」


「総長のオンナしか入れないキマリある、それを流雨に言ったのは霧島。つまり流雨は利用されたってわけだ」


「あいつ相当怒ってるだろ」


「ああ、だからお前からも言ってくれ…。晴陽が言えばあいつは大人しくなるから」


「にしては、今日明日来ないんだな」


「月を助けるためって言って黙らせただけだ、あいつは霧島を…どうするか…」


「裏切り者には、なんとか、ってやつだな。まさかナナ、甘い考えしてないよな?話せば分かるって?」


「…思ってない、けどワケは知りたい」


「拷問してでも吐かせるよ」




煙草を灰皿に押し付けたハルヒ…。

やっぱり、何を話してるか分からない…。



「拷問役は…?」


「…さあ?」


「本当に今日、やるのか?ふりでいいだろ?俺の時みたいに」


「炙り出すためだろ」



そう言ったハルヒに、柚李の視線が、私の方に向く…。なに、と、勝手に体が小さくなり。




「大丈夫、血は出さない」


「晴陽っ」


「ごめんるな、何もしないって嘘。その代わりお詫び、してあげるから許してね。また事情が変わったから」



笑顔のハルヒが、私の方にむく…。



「やめろよっ、もうこいつは充分やった、〝気に入った〟だけでいいだろ…?」



険しい顔をした柚李…。

2人は何を言っているのか…。



「柚李、俺、目的のためなら…って、お前に言ったよな?」


「晴陽…」


「俺だってこの子、燃やしたくないんだよ」

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