runa side
第59話
──月side
朝──…
「──…もうお前がカケルの女じゃないのは分かってるし、解放してやりてぇんだけど…。もうちょっと我慢してくれる?」
初日とは違い、少し笑いながら言ってくるその人は私の処女を奪った人だった。
カケル…。彼女じゃない。
開放…。
みんなからハルヒって言われてるその人は、包帯が巻かれている私の手を優しく握る。
閉じ込められている部屋にいるのは彼だけだった。柚李はスマホを持って…どこかに行ったようで…。
「ごめんね」
なぜか、人が変わったように私の頭を撫でてくるその人は、「首、締めて苦しかった?」と顔を傾けて聞いてくる。
彼が髪にふれるたび、びくびく、と、動く私の体はどう見てもハルヒに怯えていた。
「本当に何もしねぇよ? るなの初めて、俺が奪っちゃってごめんね」
こんどは一体、何を企んでいるんだろう?
柚李は、まだ…?
戻ってこないの…?
「おわびに、気持ちいいセックス、教えようか?」
くすくすと、柔らかい笑みをするハルヒ。
「や、っ、い、や」
「はは、すげぇ拒否」
「かいほ、う、して、っ」
「だからもう少し我慢して」
「勘違いって、分かったのに…っ」
「だからこうして謝ってるよね?」
謝ってる?
謝ってるの?
これは、謝ってるって言うの?
閉じ込められて
処女を奪われて。
怖い思いを毎晩毎晩させられて。
涙をこらえハルヒを頑張って睨らむ。それでも彼はこたえてないようで、私の頬をす…と、撫でた。
「流雨がお前のこと気に入ってるし、もう危険な目には合わせないっていうは約束する」
「いつ、…いつ、だして、もらえるの…」
「いつかな?」
「ここからだして…かえりたい…」
「〝俺〟は解放するよ。近々ね」
「近々…」
「事情が変わったから」
変わった…、なにが、変わったか分からない…。それが終わるまで私はここから出れられないの…?
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