第56話

そんなナナに言う。真夜中。もう12時を過ぎていた。

怪我のない所に、月という女の体に包帯をたくさん巻いていくそいつ。



「…──もう、分かってるだろ、ナナ」


「……」


「お前の〝罪〟」


「理由が分からない、なんであいつは流雨の大事な…?この女に何がある?動悸が分からない──…本当にあいつなのか?」


「流雨はお前を辞めさせたがってた、だから女を守るお前をやめさせる作戦か、と思ったけど、違うみたいだしな」


「御幸は…」


「逆に聞くけど、御幸になんの得がある?」


「……」



…くるくる、と、包帯を巻く手を止め。



「………霧島こそ、動悸がない」


「柚李、お前、この女燃やされたいのか?」


「はるひ…」


「〝誰かさん〟は霧島と遊佐で決まりだよ」






ナナは、暫く黙り込み、

静かに目を閉じていた。

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