4 days to go

haruhi side

第54話

──晴陽side





そこはだれも近づかない、空き地だった。

俺は当時、家に帰りたくなくて、時間を潰すために家から真逆の方へと1人歩いていた。


あとからナナに聞けば、そこは昔、ヤクザの抗争があったらしく、あまり人は近づかない、という事だった。




炎が上がっていた。


俺は確かに、その〝後ろ姿〟を見た。

今でも忘れない光景。



……嫌な匂いがする。



その直後降り出した雨に、ホッとしたのを覚えている。これでもう、辛い思いはしない。

俺はそいつを許せなかった。

どうして、なんで。

なんで、〝あいつら〟は──…。



後始末をしようと思った。雨の中。だけど走ってそいつが戻ってきた。傘もささず。一緒に帰ったそいつを置いて。



「……綾瀬」と、隣のクラスのそいつが、俺の姿を見てポツリと呟いた。



「…これって、捕まったりすんじゃねぇの?」



笑って聞けば、難しい顔をする男は「…言わないでくれ」と頭を下げた。頭を下げても、やったことは変わらない。亡骸にもう一度目線を落とした。



「…なんで燃やした?」


「………」


「そのへんに埋めれば良かったくね?」


「……そのまま埋めれば…野良犬とかが掘り起こすってきいた」


「別にそれでも…」



そう言って気づく。野良犬が掘り起こしてはいけない〝理由〟があったのだと。

どんな理由。

そう思って思い浮かぶのは、見られたくない何かがあったということ。


例えば、外傷──…




雨が体を濡らしていく。

もうすっかり火は消えていた。



「……お前らが、殺したのか…」


「火をつけたのは俺だよ」


「ちがう、〝初めに〟やったのは…霧島…?」


「……俺がやった…」



嘘だと分かった、だって、殺したそいつがこうして戻ってくるわけねぇんだから。


スコップを持って。




「………お前は〝お優しい〟な、七渡」

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