第47話

冷静ではいられず。



「いや、俺らはお前が大事にしてたの、イヤでも知ってたじゃん? やるなら恨みもってる…ずっとここにいた〝あの子〟しかいなくね?」



という御幸の声に、向けられるのは奥の部屋。

月がいる部屋。



その部屋へ向かおうとするのに、立ちはだかったのは、────…何故か霧島。




ナナの犬。




────俺は決して、馬鹿ではない。




「流雨」と俺の名前を呼んでくる晴陽を無視し、霧島を殴り付け。その部屋を開ければ、俺の姿をみて震えだす、支配したいかわいい俺の愛してる女の子がいて。




「入ってくるなよ」




そう言った俺は、その扉を閉めた。


その日の夜は、ナナが来るまで月の叫び声が聞こえた。





その日、月の叫び声を聞いて、ゆっくりと口角を上げて微笑んだのは──…いったい、何人か。

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