第46話

だから、まあ、決して頭は悪くない。

ただ単純なだけ。

今の好きな子達は、シャーロットたち。

けど、シャーロットたちはこれまでと違った。


ザリガニはいい。かっこいいし、かわいいし、綺麗だし。石川さんとかは綺麗な水が好きな清楚系。

普通に可愛い。

ザリガニがどういう風に育てればいいか、一日で10冊ほど本を読んだりする。それは絶対忘れないし、全部頭の中が覚えてる。


1度ハマれば、なかなか抜け出せない。

かわいい俺の子…。

ザリガニは飽きない…。



そんな俺に、またハマるものが出来た。

今度は人間。4匹目。

俺が支配したい、子が、現れた。


月っていう可愛い子。

今日の朝のキスも可愛かったなあと心の中で笑い。



──けど、その分、イライラするものもある。



どう見ても月は、俺よりもナナの方に懐いてる。だからナナをチームから出せって言ってんのに。


言っても晴陽は多分、してくれない。

晴陽はナナを気に入ってるから。

ナナは俺よりも前からの晴陽の知り合いだからか。



うざいなぁ、殺したいなあ、と、思う。

でもそれをしたらきっと晴陽が俺を許してくれないだろうから。

晴陽がどうでるか待ってんのに。




いらいらいら。

ああ、早く、月に会いたいなぁ、早く俺のところに閉じ込めたいなあと、そんな事を思いながら授業を受け。



放課後、たまり場へ戻れば、〝それ〟を見て言葉を失った。







「流雨…俺が来た時は、…俺じゃないぞ?」



そう言ってきた御幸の言葉も聞こえず。


この部屋にいるのは、御幸…晴陽……、それから霧島。



「…誰がやったの?」



俺の、俺の作った世界が他人に壊された。


どこからどう見てもハサミがちぎれ、お腹を向けて眠っている愛しい子──…。



俺の世界。



「……出てこい、やったやつ、ころす」

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