第40話

「…震えてねぇからなんだ、やってねぇ証拠にはならない」


「どうだか」


「…晴陽」


「お前は〝違う〟らしい」



その言葉に、ぴくりと反応した柚李は、険しい顔を向ける。


〝違う〟



「…どういう意味だ?」


「お前も薄々、気づいてんじゃねぇのか」


「…お前がいつもと違うって?」


「〝この状況〟がおかしいって」



ハルヒはそう言うと、煙草を持ったまま、反対の腕でビク、と震える私の首に回す。また私を抱き寄せるハルヒは、煙草を口に咥え。



その煙草をひと吸いしたあと、その煙草を持っている腕をのばし、柚李に差し出した。



それを受け取った柚李が、その煙草を咥え。



「俺は信用できるのか?」


「この女を抱いてたら切ってたよ」


「なんで?」


「俺の言う通りにならないから、お前は信用できるんだ」


「…なんだそれ」



ふ、と、紫煙を出した柚李はため息を出し。



「逆を言えば、言うことを聞けば裏切ってる事だろ?」



ハルヒは、柔らかく、どうしてか私の頬に唇を寄せる。震えあがる私の肩を優しく撫でてくるハルヒという男…。



「…流雨も、晴陽の作戦か?」


「いや、たまたま」


「…たまたまであれか、」


「今日か、明日、何かあるぞ。気ぃつけとけ」



ハルヒの言葉に、柚李は頷き。



「小学生の時、思い出すねぇ」と、ハルヒはそのまま私をベットの上に押し倒した。

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