第23話

見た限り、衣服の乱れはない。



「中、閉じ込めとけ」


「晴陽、その事なんだけど」


「あ?」


「やっぱり女の子を閉じ込めるなんて、可哀想だと思うな」



まだ息が乱れている女の体を起こし、自分の腕の中におさめる流雨。



「月、持って帰っていいかなぁ?」



まるで恋人のように頬へ口付けする。



「流雨、そいつザリガニじゃねぇよ?」


「どうなの、持って帰っていい?」


「ダメに決まってるだろ」


「ちっ、」



何があったか分からないけど、どうやら流雨は向こうにいる3匹と同じように…この月って女を気に入ったらしく。





いや、まてよ、

このままの方が〝都合いい〟…か?



「1週間まて、その後はお前の好きにすればいい」


「…1週間か、我慢できるかな。まあいいや、ありがと晴陽」




ふふ、と機嫌良さそうに笑った流雨は、また深く月に唇を重ねていた。

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