第22話
──…倉庫に戻り、「お疲れ様です」「こんにちは」といってくる下のやつらを無視し、中に入る。
このチームで1番の俺は、当たり前だけどその部屋入る時ノックはしない。
中に入り、靴を脱ぎ、トイレの前を通り過ぎて
奥へと進めばそこは幹部しか入れない場所。
ソファ、テレビ、机。
日常生活では困らない物が置かれているその部屋で──…
「んっ、っ……ん、っ」
苦しそうな、やけに甘い女の声が聞こえ。
その長いソファの上で女を押し倒し、馬乗りになっている後ろ姿はどう見ても流雨で。
「なにやってんだ、」と、昨晩のナナのようにソファを蹴れば、ちっ、と舌打ちをした流雨が俺を睨みつけてきた。
そんな流雨の薄い唇は、唾液で濡れている。
「…おかえり晴陽…」
よく見れば流雨がキスをしていた女は、昨日俺がヤった女だった。顔を赤くし、何度も何度もされたのか息が荒れ。自分の手で咄嗟に唇を流雨から隠していた。
「閉じ込めとけって言ったよな」
「かわいくて、つい」
つい、じゃねぇよ、と、もう一度ソファを蹴る。
いや、まて、
かわいい?
ザリガニ以外の女は便器と思ってる流雨が、〝かわいい〟?
「頭、イカれたか…?」
「御幸と同じこと言わないでよ」
機嫌悪そうに童顔の顔を歪めた流雨は、前を向き直すと「だめじゃんかわいい顔、隠しちゃ」と、愛おしいに流雨がその女の額にキスをしてるから。
眉が、寄る。
いや、なにしてんの、オマエ。
「流雨…」
「そういえば晴陽、昨日月とヤッたっけ?」
るな?
「俺、お前のこと嫌いになりそう…。今度手ぇ出したら殺すから」
また、俺を睨みつけながら言った流雨に、軽くため息を出した。
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