第19話
それから流雨と御幸という人の話をずっと、流雨の膝の上で聞いていた。
しばらくしてから御幸と言う人のスマホに電話が入り、部屋を出ていったから、また流雨と2人きりになり。
キリシマという人も、流雨に「消えて」と言われてから姿を見せていない…──。
細い体をしてるのに、ホールのチョコレートケーキを間食した流雨は、「やっと月と2人っきりになれた」と嬉しそうに微笑み。
「キスしたいな、キスしてもいい? 」と、とんでもないことを言ってくるから。「っ、」と、顔を強ばらせた私に、「あ──…そうだよね、まだ付き合ってないもんね?キスはだめかァ」と眉を下げ。
「昨日会ったばっかなのに告白するのも軽い男がする事だよね?いつなら軽くない?明日?」
昨日、私の中に挿れてきた男が何を言っているのか…。
「はあ、かわいい、困った顔もかわいい。今頭の中俺ばっかでしょ?かわいいなあ」
ぎゅう、と、私を横抱きに抱きしめる流雨…。震えはマシになったものの、まだ怖く。
「ああ、むり、我慢できない。キスしていい?付き合ってないのにいや?でも仕方なくない?月がかわいすぎるのが悪くない?俺は悪くないよね」
「きゃあっ、」
私を抱きしめていたはずの流雨が、抱きしめるのをやめ、顔を覗き混んでくる。うっとりとしている流雨の顔が近づいてくる、
それにビックリして軽い悲鳴を上げれば、「俺の彼女になってよ」と、さっき早い早いと言っていたくせに、ありえない事を言って、くるから、
顔を、横にふった私に、
またしゅん…と、残念そうにした流雨は「警戒してるね…大丈夫、そのうち俺に懐くよ。あの子たちみたいに」と、私の後頭部に手を回した。
私を引き寄せ、キスをする気満々の流雨に、ギュッと目を閉じれば、額に柔らかい感覚がして。
…っ、と、潤んだ瞳で、彼を見つめれば。
────ちゅ、と、
唇に柔らかい感覚がして。
一瞬のそれ。
目が合ったまま、唇が重なり。
「俺とキスするとき、目、開けててね」と、にっこりと微笑んだ。それはまるで、天使のように──…。
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