第13話

「問題は霧島だよぇ、あいつナナの犬だし」



ふふ、と、笑った流雨は、その部屋にある小さな洗面台の水道で手を洗った。



そのまま「トイレ」と、2つあるうちの1つの1番近いトイレではなく。


さっきまでナナがいた奥の部屋へと行こうとするから。あんまり使ってないトイレに行こうとする流雨を不思議に思って「どこに行くんだー?」と、聞けば、口角を上げにやりと笑った流雨がふりかえる。




「せっかく〝便器〟があるんだもん。有意義に使わないとね?」



大きい目を細めたそいつは、トイレではなく奥の部屋へと向かう。拉致した女がいる部屋に。





晴陽は何も言わない。


ただ煙草の火を消してるだけ。




「────いやぁあっ!!」って女の悲鳴が聞こえても、晴陽は動じない。まるで聞こえてないみたいに接する。



それが、普通。ここでは。


オンナは、オモチャ。


楽しいね、ホント。




だからこそキライ。ナナが。


ナナはいつも楯突くから。


死ねばいいのになぁ、と、いつも思ってる。


でも晴陽は〝仲間思い〟の良い奴だから。


〝仲間〟は傷つけない。



俺は、そんな晴陽が〝ダイスキ〟だった。

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