第10話

誰もいない、この部屋。

ハルヒとルウという男がいなくなったこの部屋で、助けて助けてと、涙を流している時、



──ガチャ、と、その扉が開かれ。



その音にガタガタガタガタと体を震える事しかできない私は、恐怖しかなく。



「おい」



と、その声の低さに、まるで地震が起こったかのようにベットが揺れた。私の体が、震えているから。



「飯持ってきた、食えるか?」



おい、と、私が丸まっている布団の上を叩かれ。びく、と、恐怖でその人物から後ずった私は、「こないでっ、…!」と泣き叫び、



後ずさって、そのせいで布団が捲れ、布団から顔を出した私は、その人と目が合ってしまった。



鋭い目。睨んで人を殺せるかのような鋭い目。

サラサラとした黒髪から見える鋭い目に、恐怖で「ひっ、」と、頭を隠すように身を縮こませた。




「やめ、て…やめて…」



ボロボロと涙を流す私を見た男は、そのまま視線を下にやった。薄暗いと思っていた部屋は、いつの間にか電気がついていた。


目付きが悪い男が見るそこは、私の下半身から出て血で染まったシーツ…





「……大丈夫か」



それを見て、「…大丈夫じゃねぇな…」と、そう言ってくる男は、「服は…」とベットの周りを見る。




「…服さえも着せねぇつもりか」



呆れたように、「何考えてる」と呟いたその人は、自身の着ていたパーカーを脱ぎ、それをベットの上に放った。



「着てろ」




目付きの悪い、その人は、ガタガタと震える私を見て「…何もしねぇよ…」と呆れたように言ってくるけど、信じれない私は、「やめて…」と言うことしかできず…。






「災難だけど、俺ら側に捕まったお前はもう逃げられねぇよ」



俺ら側、捕まった…。



捕まった……。




「こ、ここは、どこ、……っ…」


「どこって、分かるだろ?」



わから、ないから、聞いてるのに。

分からないほど、

私は全くしらないし、関わりのない人間なのに!!


ただ、あの場にいただけなのに!!



「わたしは、かんけい、ないっ」


「あるから捕まったんだろ?」


「私は、しらないっ、…〝あそこ〟にいたのだって、どこの誰かも分からない男のせいで足を怪我したからのに…!!全く関わりないのに…!!!」


「……」


「なんで、なんでっ…」




ボロボロになって泣く私を見るその人は、溜息をつきながら「……俺には、逃げたくてウソついてるようにしか見えねぇ…」と、残酷なことを言ってくる。



「ちが、、ほ、ほんとうに、」



必死に、目つきの悪い、かろうじて話が通じる人にそれを話すのに信じてくれない…。



「助けて……」



眉を寄せるその人は、「……お前のオトコが助けに来てくれんの、待つしかねぇよ」と、ありえないことを言ってくる。



私の男?


だから、それは──…

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