第62話

そういうところ…。



「いや…、待てよ、……」



その刹那、何かを思いついたような声を出したユウリに、「…え?」と声を漏らした。



「ユウリさん…?どうかしました?」


「そうか、だから…」


「…ユウリさん?」


「おかしいとは思ってたんだ」



おかしいとは思ってた?

なにが?



「普通、こんなワーワー文句言ってくるやつに、シイナのこと任せるか?って。俺だったらイヤだわ、勝手に他人に家に入られるなんて。簡単に俺に鍵を渡してきた時、おかしいとは思ってた……」



ユウリの言っている意味が、分からず。

何かを理解し、全てを分かったような声を出すユウリ…。


私は目が見えなかったから、気づかなかったのだ。


──…ユウリの目が鋭く、目の色を変えたのを。



「…そろそろ時間だから行くわ、また夕方にくる」


「ユウリさん…」


「絶対に来るから」

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