第60話
コーヒーは苦かったけど、美味しかった。
心も体も、温まった。
ケイシが家から出ていこうとして、「……あ、の」と、ケイシを呼びかけた。
「…なんだよ」
「…ユウリさんに、黙っててくれてありがとうございます……」
弱々しい声は、小さすぎたけど。
私の声は聞こえていたらしく、「…ああ」と返事が聞こえた後、ケイシは家から出ていった。
その日の夜、ケイシは帰ってこなかった。
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