第12話
食事は毎日3回。
どれもパンだった。
それと風呂の案内で、ああ一日が経ったんだって思う。眠るのも、何時間寝たのか分からない。ただ時間だけが過ぎていく。
目は、治る気配はなく。
私はこのまま失明するのではないか。
だとすれば売られずに…。ずっとこのまま。ううん、このままなら借金が増えていく一方だから。このまま死んだ方がマシでは…。
一人の時間が長ければ長いほど、そう思ってしまい。どうすれば死ねるんだと考えていた。
そう思って笑う。
目が見えなくては、どうやって死ぬかも分からない…。
一日1回だけ来るケイシは、「死人かよ」とうんともすんともしない私に、だるそうにする…。
「お前、あと1週間以内に治らなかったら、中身売ってバラすからな」
中身が、何か分からない…。
バラすの意味も…。
たまに、この人はこういう組織の用語を使う。
意味の分からないまま「……はい」と感情のない声で呟けば、舌打ちをするケイシ。
「俺が出先から戻るまでに見えるようにしろ」
出先?
よく分からないけど、ケイシはどこかに出かけるらしく。
次の日、ケイシは来なかった。
その代わりタカがきた。
タカが言うには、ケイシは1週間程出かけるようでここには戻ってこないと。
そしてケイシが戻ってくるまでに視力が戻らなければ、私の内臓を売って殺すということも教えてくれた。
私はそれを聞いて「…そうですか」としか言えなかった。
別に1週間も待たずに、殺してくれてもいいのにと。
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