第10話

けれども、考えたところで私に出来ることは無い。

ただ一日中、この部屋で過ごす。

時計も見えなければ、外だって見えない。だから今何時なのかも分からない…。


口を閉ざし続けた。







それが3日も続けば、トイレの場所も分かってきた。

お風呂も、タカがシャワーは右側と教えてくれたおかげで使用することもでき。

服はタグの位置を確認し、着れるようになった。


それでも壁などにはよくぶつかる。

おかげで身体の部分が痛かった。






目が見えなくなって、1週間がたった。

鏡を見てないから、今自分がどんな表情をしているかも分からない。


ケイシは1日1回、目の調子を確認しにくる。見えないことを確認するケイシは、ずっと機嫌が悪そうだった。




1週間もたてば、部屋から出て何歩目で曲がったところがトイレか分かるようになり。

壁を伝い進む。

そうすれば、前の方から足音が聞こえてきて。




その人は、トイレの方から来たようだった。

ケイシだろうか、もしかしてタカ…。

そう思って足を立ち止まらせた。




すると、前から来たその人の足音が止まる。

誰だろうと顔を上げても、その人の顔はもちろん見えない。




だけども近くにいるらしいその人は、「…足、痛むのか?」と、壁を頼りにしてる私にそう聞いてくる。



その声は、どこかで聞いたことがあるような気がして。




「トイレ?連れていこうか?」




だけど、その人が誰か分からない…。




やけに低い声…。

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