第8話
「──…とんだハズレくじだな」
真っ暗で、ここがどこだか分からない…。
多分、私を閉じこめた部屋にいるのだろうけど、その部屋のどこにいるのか分からない。
真ん中にいるのか。
端にいるのか。
「どうします?目が見えなくて店は…キツイですよ」
その声は、昨日、確か食事を持ってきた人だった。いったい、いつこの部屋に入ってきたのか。
「ああ…」
カチ、って音がした。
その途端に苦い煙っぽいものが届く。
──…煙草?
「カゲミヤさんはなんて?」
「精神的だろうって、完璧に見えてないっぽいな。珍しいらしい、視力は落ちることあっても盲目は」
「治るんですか?」
「さあな、…それほど写真がショックだったのか…。──…まあ治らなければ売り場所を変えるだけ。目が見えない女で遊ぶ変わったマニアのやつもいるだろ…」
「オヤジ、許しますか?」
「知るかよ」
はあ、と、ため息をつくケイシに「…とりあえず今日は中止で…」と、話す。
「そうだな」
「俺、しばらく面倒見ますよ。ケイシさん他の仕事もありますし」
「…ああ」
「ってか、ごはんもアーンとかするんですか?」
「パンでも置いてたらいい、勝手に食うだろ」
「ああ、そうですね。でも、お風呂は付きっきりで体を洗うとか…」
「タカ、手は出すなよ」
「分かってます、売り物は新品でが、ここの売りですから」
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