第88話

「脅された?」


奈央は驚いてあたしを見てきた。



「そうだよ、この街にいられなくするって」


あたしは思い出しながら笑った。



「今はもう連絡も来ないし、諦めたみたいだけど」


たまり場にも行ってないし。

あれから1度も隼翔と会ってない。


奈央はあたしから視線をそらし、コーヒーの方を見つめていて。



「·····俺、実はそんなに学校行ってなかったんだ。高2の終わりまで。今は普通に行ってるけど」


「え?」


「それまで隼翔とはたまに喋ってたけど、よく喋るようになったのは最近」


「·····」


「·····だから、すごく仲がいいってわけじゃない。グループが違うっつーのかな。俺は族に入ってないし。学校内だけで喋る間柄。だからこの前誘われた時びっくりしたぐらい」


「·····そうだったんだ」


「多分、俺もそうだろうね」


「え?」


「兄ちゃんの弟って事で、関係があった方がいいと思ったんじゃないかな」

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