第89話

それって、あたしと同じでは?

元総長の妹のあたしと、元副総長の弟の奈央。




「別に隼翔の事嫌いではないけど。·····脅すのは·····」


「もういいよ、終わったことだし」


「いや、でも·····」


「ねぇ、それよりさ、奈央ってバイトとかしてるの?」



正直、もう隼翔の話をしたくなくて。

あたしはできるだけ笑顔を作って、奈央を見た。



「してないけど」


「じゃあ、放課後とかって暇なの?」


「·····そうだね、いや、どうかな?」


「忙しい?」


「忙しくはないけど·····、何かあった?」



放課後暇なら、会いたいなって思って。

というより、話し相手が欲しくて。



女友達もいなく、たまり場には行けず。大駕の所へも行く勇気が無くて。


こうして話せる相手が、奈央しかいなくて。


だって奈央は、族の一員じゃないからたまり場には行かないし。

大駕んとこにも行くことも無い·····、この前は隼翔に誘われたから行っただけで、あれっきりだろうし。

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