第87話

「隼翔の好きな子かなって、思った」


「·····そうなんだ」


「俺が知ってるのはそれぐらい。胡桃ちゃんは付き合うの迷ってる?隼翔から何も聞かないし、付き合ってはないよね」


「胡桃でいいよ、あんまりちゃん付け慣れてないから」


「じゃあ俺も呼び捨てでいいよ」


「うん、分かった。··········付き合うっていうかね、もう隼翔には付き合わないって言ったから」


奈央君·····、奈央は「そうだったの?」と、アイスコーヒーを1口ほど流し込んだ。


あたしもキャラメル味のコーヒーを、ストローで流し込み。



「隼翔はあたしの事を好きじゃないから」


「え?」


「お兄ちゃんの妹だから、‘お気に入り’になっただけ」


「·····」


「妹って知った途端付きまとってきたし、付き合わないって言ったら脅されたし、あたしに対する気持ちはそんなもんなんだよ」

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