第85話

隼翔があたしと付き合いたい理由は、お兄ちゃんの妹っていうブランドが欲しいだけ···。


でも、大駕は?




「大駕は···あたしのどこ好きなんだろ·····」



あたしはポツリと呟いた。


可愛いとこ?

優しいとこ?

家族思いなとこ?




お兄ちゃんは何かを察した顔つきをした後、猫を撫でる手を再開させて。



「それは大駕にしか分かんねぇよ」



やっぱりお兄ちゃんは、大駕の気持ちを知っていた。知っていたのに、あたしには黙ってた。



「気が向いたら、たまには行ってやれ」


「··········うん」



お兄ちゃんは、大駕を応援してるの?

あたしと大駕が付き合えば、お兄ちゃんは嬉しいのだろうか。



あたしが辰巳さんのことを好きなの、知ってるはずなのに···。

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