第76話

なんでって、あたしがこれを持つ資格が無いから。




「だって大駕、あたしのこと好きでしょ?」



きっと、あたしだけ知らなかった。

お兄ちゃんも、湊も、実さんも、辰巳さんも知っていた。

だからあんな事を言ってきたりして。



「··········」


「嫌じゃなかった」



昨日のキス·····。



「でも、驚いただけで、ドキドキしない」


「·····胡桃」


「大駕は好き、兄みたいな存在·····」



兄のような存在の大駕·····。

でも、大駕はあたしを妹として見たことがないと言っていて。



「でも、それ以上にはなれないから」


「·····」


「これ、返しにきたの。もう、行くのやめる」


「それはもうお前のだ、別に返さなくていい」



そう言われても。

あたしは大駕を異性として見ることは、きっと無いだろうから。無いと分かっているのに、大駕の部屋に通うってどうなの?


大駕の気持ちを知ってて、一緒に大駕のベットで寝れる?


もう、今までみたいに接することは出来なくて。

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