第71話

でも、このまま隼翔と付き合えば、本当に辰巳さんを忘れられるかもしれないって思った。


なんだかんだ言って、こいつもうるさいし。


好き同士ではなく。



密葉ちゃんを一途に想い続けるお兄ちゃんの、密葉ちゃんのところへ向かう車を思い出した。


相思相愛な関係·····。

羨ましいと、思う関係·····。







━━━━そんな安い女じゃねぇだろ




隼翔があたしにキスをしようとしてきた時、大駕の言葉を思い出し、



「やめて」



自分でも驚く程の低い声に、ピタリと隼翔の動きが止まった。



「どいて」


あたしは隼翔の胸を強く押した。



「お前、何してるか分かってんの?」


「わかってるよ」


「この街にいられると思うなよ?」



その言葉に、笑いが漏れた。

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