第55話

大駕にキスされた。


大駕にキスされた。



大駕と·····、キスしちゃった。




出入口の扉を開け、走って去ろうとした時、あたしの体は走ることが出来なかった。





「·····びっくりした、なんだ、どっか行くのか?」




目の前に現れた久しぶりの辰巳さん。辰巳さんは今扉を開けようとしたらしく、あたしの前に立ち塞がっていた。




「胡桃?」



辰巳さんに会えて嬉しいはずなのに、大駕とキスをしてしまったということに戸惑いを隠せなくて。




「なんだぁ?買い出しか?んならアイス買ってきてくれよ」



よく見れば、辰巳さんの後ろには、湊と実さんもいて。


湊は「バニラな、カップだぞカップ」と、ムカつく事を言ってくるけど、あたしは何も返事が出来なくて。

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