第53話

「意味分かんないよ·····」


「しろって言ったの、お前だから」



顔を近づけたのはあたしなのに。大駕はあたしの首裏に手をやると、ぐっと引き寄せてきた。


数センチの距離は、あっという間に無くなり。


驚きすぎて、まさか本当にするとは思わなくて、2秒ほど口を塞がれて、やっと理性を戸取り戻したあたしは大駕の胸を押した。



すんなり離れた大駕は、あたしの目を見つめる。



「··········大駕·····」


「なんだよ」


「なんで·····キス·····」


「お前がしろって言ったんだろ?」



そうだけど。その通りだけど。

なんで··········、大駕は幼なじみで、お兄ちゃんと同い年で、兄みたいな存在で。




「お前さ?妹扱いって言ってるけど、お前はどうなんだよ」


「え·····?」


「俺のこと、兄扱いしてんじゃねぇの?」



兄扱い·····。


それはまさに今思ってたことだった。




「ちゃんと1人の男として、俺を見ろ」

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