第51話

大駕はお金をレジに全てしまい込み、あたしの手をひいた。



「胡桃、馬鹿な事を考えんな」


「え?」



馬鹿?

馬鹿って何。



「辰巳を忘れるために男作るとか、馬鹿なこと考えんな。誰でもいいとか、そんな安い女じゃねぇだろお前は」




大駕の真面目な顔が、あたしの視界にうつる。女遊びの激しい大駕。あたしをからかってくる大駕がこんな真面目な顔をするなんて、あんまり見たことなくて。




「·····大駕」


「本気で好きになった男と付き合え」



女の子と遊んでばっかの大駕が、あたしにこんな事を言うとは夢にも思わず。




「好きな人に、好きな人がいたらどうするの」


「ばか。女はな、愛される方が幸せになるんだよ」


「なにそれ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る