第12話

「外までお前の声聞こえてる」


そう言った辰巳さんは、最近髪の色を染めた。

なんでも彼女が『茶髪を見てみたい』って言ったからと、辰巳さんに聞いた湊が言っていた。


辰巳さんといえば、金髪のイメージしかなく。


本当に金髪が似合っていたのに、いや、別に、茶髪になった辰巳さんがかっこ悪いってわけじゃない。っていうかかっこよすぎて鼻血もんだけど!


彼女のためにどうしてわざわざって感じで。


私は金髪の辰巳さんが好きだった⋯。



辰巳さんが『胡桃』と、私の名前を呼んで、ドキドキと心臓が嬉しくて波打っている時、



「こいつ、辰巳の女が浮気してるってうるせぇんだよ」



私に変態呼ばわりされた大駕が呆れたように呟いて。



「あ?」



辰巳さんが不機嫌そうに中に入ってくる。別に辰巳さんが不機嫌なのはいつもだけど。

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