第47話

結構重たい荷物が入ったダンボールを、軽々私から受け取った橋本君は、「どこまでっすか?」と、本当に運んでくれるらしく。



私が持っていたら大きくて前を見るのも少し苦戦していたのに、大きい体を持つ橋本が持ったらダンボールが小さく見えるのが不思議。



「数学室なんだけど⋯」


「え?先生って現国ですよね」


「あー、く⋯九条先生に頼まれて」



クソジジイと言いかけてしまった。やばい。



「あー、そいつメガネかけた男っすよね」


「知ってるの?」


「1年ん時、担任でした」


「そう⋯」


「俺、アイツ嫌いなんすよね」


「うん、私も」



そういう私に、橋本君は軽く笑った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る