第11話

「どっちかにしなさいよ⋯」


呆れた私は、ため息をつく。



「いいんじゃない、向こうも適当だし」



まるで馬鹿にしてるような笑い方だった。顔はすごく綺麗なのに。何を考えているか全く分からない。



「ちゃんと恋愛しないの?」


「つーか、金曜日なんで捕まえなかったわけ?」


「は?」


「ああ、勤務時間外だから?」



矢島君はそう言って、窓の方へと足を向けた。



「時間外だと、給料貰えねぇもんな」



窓から外へ出ていく矢島君を見ながら、私は言葉が出なかった。


舐めた口調⋯。


私を舐め切っている言い方⋯。



ムカつく。


ほんとにムカつく。


開けっ放しの窓を、勢いよく閉めた。



壊れている鍵。それが視界に入り、余計にイラつき度が増す。

鍵を新しくしてやる。

絶対に二度とこの窓を使えないようにするからな!!!

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