第10話

「いいわね、彼女が2人もいて」


私がそう言うと、矢島君の形のいい目が、私に向けられるのが分かった。

綺麗な目をしているのに、かっこいい顔をしているのに、私を見つめる矢島君の目は、少し怖かった。




「見たわよ、金曜日。女の子と歩いてるの。ホテル街で」



―――ホテル街、を強調して言った。



「何それ、注意?そういうのも先生の仕事なわけ?」



全く否定しない矢島君は、彼女が2人もいるらしい。さっき見た子と、金曜日にホテル街へ消えていった彼の隣にいた女の子は全くの別人だった。

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