第86話
「あ、あの···」
もうすぐで家だというところで、私は良を呼びかけた。良は立ち止まり、何も言わず、ただ冷たい目だけをこちらに向けて。
「やっぱり、護衛、いいです···」
「あ?」
「私、あんまり目立ちたくなくて···、学校でジロジロ見られるのとか」
「······」
「ほんと、大丈夫だから」
「······」
「もう、やめてほしい」
「お前舐めてんの?」
「え?」
舐めてる?
良を?
そんなふうに思ったことはない。
ただ、怖いとは思うけれど。
「お前が頼める立場じゃねぇだろ」
頼める立場じゃない?
どういうこと
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