第85話

放課後、「前にいる」という良からのメールが届いていた。



校門の近くの壁にもたれかけ、膝をたててしゃがみこみ、どう見ても近寄り難い雰囲気を出している良がそこにいた。



その光景を見て、「西高の生徒」「なんでいる」「ヤバイね」「近づかないでほしいんだけど」という、朝のようなジロジロと見てくる生徒達が言う。




恐る恐る良に近づいた私に、彼も気づいたらしく、鋭い目で私を捉えてから立ち上がった。


そしてそのまま、駅の方へと歩く。


朝のように、このままついてこいという事らしい。




「あの子だれ?」

「あの子、あんなやばい奴と関わってんの?」

「1年生?」



ジロジロと見てくる視線に耐えきれず、もう10mほど進んだ良を走って追いかけた。


もしかして、これ、明日も続くのだろうかと思ったら、少しだけゲンナリとした気分になった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る