第52話

ガタンガタンと、電車がゆれる。


電車から見える風景をぼーっとしながら、ただ1点を見つめた。何事も無かったような電車内。いつもと変わらない電車内。



さっきの事が夢のような錯覚を起こしてしまうほど、普通な光景で。ただ私のではないシャツを見てしまうと、さっきのは現実なんだと思い知らせる。




改札を出て、いつものように家に向こうとした。




けれども行けなかったのは、



「ちょっと待って!!」



誰かが私の肩を掴んだからで。



思わずビクッと揺れる体。


それもそうだ、さっきのさっき。


ついさっき、服を脱がされ、犯されそうになって···。

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