第51話

「いらないからっ」


「あ?」


「1人で帰れるから!!」


「おいっ」


私はカバンを徹から奪い取り、

ヘルメットを無理矢理渡し、

そこから無我夢中で走った。


もう倉庫の外だったため、先程のように不良たちはおらず。



「────もうここに来るな!!」



遠くから聞こえる徹の声。



そっちなのに!!


連れてきたのは、そっちなのに!!


巻き込んだのは、あんた達なのに!!




私は走った。


嘘をついた男なんて、


私を犯そうとした男なんて、


1秒たりとも一緒の空気を吸いたくなかったから。

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