第91話

「誤解されやすいかもしれないけど⋯」


「⋯うん」


「もしかして、良くんに何かされた?」


「⋯ううん、そうじゃなくて⋯」


「良くんと何かあったの?」



良くんとじゃない。

私が一方的に思ってるだけ。




「遥ちゃん?」



黙り込んでしまった私は、目の前にある購入したお茶を手に取った。




「前⋯、高1の頃⋯、夏ぐらい⋯見かけたことがあった」


「え?」


「清光の高校の生徒が、すごく電車の中で騒いでたの⋯」


「清光高校?」


「うん⋯、みんなその集団から離れてたら⋯1人だけ「どけ」っていう人が現れて⋯。お年寄りも座れない状態だったから⋯、その人が現れてすごく助かったの」


「⋯それって、良くん?」


「⋯うん」


「そっかあ」



真希ちゃんはニコニコと笑う。



「優しい人だなって思った」


「うん」


「その時、私⋯、どういう人かは知らなくて。魏神会の溜まり場で、再会して、危険な人物って聞かされて⋯、私それ、よく分かんなくて⋯」


「うん」

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