第92話

「だから、気になった⋯」


「え?」


「普通に接している真希ちゃんが、すごく気になったの」


「遥ちゃん、もしかして、良くんのこと好きなの?」



私はその言葉に、顔を上へとあげた。


真希ちゃんは嬉しそうに、笑っていて。



「あっ、私、良くんとはそういう仲じゃないよ!ほんとに!私彼氏いるからっ、良くんとはただの友達だから!!」



笑っているかと思えば、焦り出す真希ちゃん。



「誤解しないでねっ!」



「真希ちゃん⋯」


「もしかして、今日それで来てくれたの? 良くんはね、私と彼の仲を味方してくれた人なんだよっ。だからそういうことは有り得ないからねっ」



味方した?


真希ちゃんと、敵である穂高のことを?


付き合ってもいいと?



「私の気持ちに知ってて、反対できないって言ってくれたの⋯。ほんと、すごく優しいよ⋯。目付き悪いし、不機嫌オーラ凄いけど」


「⋯うん」


「頑張ってね、私応援するから」




ニコニコと笑う真希ちゃんに、彼氏がいるということを言えなかった。



良くんが好きなの?という言葉にも、否定出来なかった。

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