第73話

「お前なんか知らねぇよ」



暴走族の溜まり場へ、連れていったのは私が初めてだと言っていた裕太。

ということはつまり、彼にとって、裕太の彼女と認識しているのは私だけでは?



胸ぐらを掴んでいる方とは逆の手が、振り上げられる。



私はその光景を止めなかった。




「良」



けれども、やけに艶のある声が、彼を止めた。



「やめとけ」



ありえないぐらい、綺麗な顔をしている人。

魏神会の、幹部の1人。

矢島昴さんだった。


モデルのように整った顔つき。



「何があったか知らないけど、君たち、もう行きな」



昴さんが元カノたちに言い、良くんの手から逃れた彼女たちは、バタバタとその場から離れていき。



「大丈夫?」



私に話しかけてきた綺麗な男⋯。

昴さんは「遥ちゃんだっけ?」と、私の名前を覚えていたみたいで。

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