第72話

「―――面白そうなことしてんな」



低い声。

私の視界に入ってくる細身で、背の高い男は、元カノ方へと近づいていく。


その男はしゃがみこんでいる元カノの胸ぐらを掴み、「なあ、なにしてるわけ?」と、今にも殴りかかろうとする勢いで。



元カノも、元カノの友達も、カタカタと体を震わせて何も言えず。


近づかない方がいい男。



「メンバーの女に手ぇ出すって、俺に喧嘩売ってんのと同じだよなぁ?」



メンバー⋯、裕太の彼女だから?



「あ、あたし、裕太と付き合ってたの⋯!だからっ⋯」



逃げるためか、言い訳をし始める元カノは、酷く怯えていて。

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