第61話

「裕太に言え。あいつはそういうケジメつけらんねぇ男じゃない」



良くんはそういうと、今度こそ立ち上がり、2階へと登る階段へと向かい。


私はその後ろ姿を見ながら、どうして「近づかない方いい」って言われているのかと思った。



見境がない?


そうだろうか?



見境がないのは、こうして非通知の電話をかけてくる女の方じゃないかと、思ったりして。




―――「どけ」

あの時の出来事を思い出す。



―――だって良くんは、私の中では‘優しい人’という認識なのだから。

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