第62話

私の好きなタイプは、優しい人。

絶対に私を傷つけない人。


裕太はそのタイプだった。




今日も家の前まで送ってくれた裕太は、優しい男で。あの話し合いから、本当に優しくなった裕太。

今までも優しかったけれど、雰囲気というか、私を見つめてくる視線がとても柔らかくて。


本当に、私で適当に遊ぼうなんて、思っていたことさえ忘れてしまうぐらいだった。




「これ、いつから?」



驚いた声を出す裕太は、私のスマホを操作して眉間にシワを寄せた。

少しだけ低い声を出した裕太は、「電話だけ?他には?」と、私にスマホを返してきて。



「電話だけ。2週間ぐらいかな⋯」


「どんな電話?」


「『別れろ』とか、『裕太を返せ』って」


「分かった、怖かったな、ごめん⋯」



怖かった?

そんな事は思わなかった。

めんどくさいとか、またか⋯気持ち悪いとかは思っていたけど。



「誰からか分かるの?」

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