第60話
「⋯知るかよ」
私の質問に答えてくれて。
「そういうのは俺もよりも、先に言うやつがいるだろ」
冷たい口調⋯。めんどくさいっていう感じの喋り方。
なのに、返事はくれる。
喧嘩相手に見境のない男⋯。
「え?」
「お前、裕太の女だろ?」
知ってたの?と、心で呟く。
私と喋ったことも無い。
裕太が言った?
分からない。
でも、私という人物を認識してくれていたことは確かで。
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