第59話
私を睨みつけているかのように見える冷たい瞳。
「ごめんなさい⋯、いるとは思わなくて⋯」
この距離だ。
きっと聞かれてた。
今の話。
そう思った私の心は、そのせいかドキドキと心が動いていて。
高島良はフッと私から視線をそらすと、どこかへ行こうと思ったのか、立ち上がる気配をみせて。
「あ⋯、あの⋯⋯」
私は自分から声をかけたのに、思わず下を向いてしまった。
「良くんは⋯どう思う?」
「⋯」
「言った方がいい?」
私はゆっくり顔を上へあげた。
私を見つめてくる良くんの視線は、やっぱり冷たく。
近づかない方がいい男。
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