第58話

「そういうことしてくる女かもしれないよ」


「うん」


「今度、西高の文化祭行くし、電話の相手が西高にいればやばいじゃん。そんときに何かされるかもしれない。気をつけた方がいい」


「⋯だね」


「早いうちに言っときな―――ゴミ捨ててくる」




莉子は立ち上がると、ゴミを捨てに歩いていき。


私は非通知がかかってくるスマホを見つめ、げんなりとしながらため息をついた時、背後から……カタ……という小さな音が聞こえた。



莉子に言われたばかりだからか、その音に驚いてバッと後ろを向いた。


そこにあったのは、人影。

というより、誰かの足。




誰?

今の話、聞かれてた?

そう思って、壁で隠れているその人の方へと体を動かした。


その人物を見た時、思わず呼吸を忘れた。



そこにいたのは、日陰になって休んでる…高島良で…。



死角になっていたらしい場所にいた彼は、私はの方を見ていた。



視線が、絡み合う。

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