第46話
息切れするほど走ってきた裕太が現れた時には、もう高島良はいなくなっていた。
「ごめん、待った⋯!?」
肩で息をする裕太は、「あっつ⋯」と、肩の部分を上げ頬に流れる汗を拭いていた。
「ううん、ゆっくりでも良かったのに」
私は自分のカバンの中から、ハンカチを取り出した。
「ありがとう」と受け取った裕太は、それで汗を拭き。
「向こう、騒がしいけど、なんかあった?」
裕太がそう言って視線を向ける先は、さっきまで高島良がいた場所だった。
「うん⋯、さっきまで喧嘩してたみたい⋯」
「喧嘩?」
「うん、溜まり場にいる人⋯」
「え?だれ?もういない?」
だれ?
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