第36話

穏やかそうな人だと思った。


2階へと登れば、そこには2つの扉があり。

奥の方はトイレ。

手前の部屋をノックした裕太がその扉を開き。


そこにいたのは、1人の男性。



「遥ちゃんと莉子ちゃんね。よろしく」



山本聖さん。ここのトップの人。

無意識に私は、怖い不良だと決めつけていた。

けれども想像とは違い、優しく穏やかに笑っていて。

裕太と顔つきは違うけれど、少し裕太と同じタイプだと思った。




挨拶という紹介は、1分もかからず、ほんの数秒で終わった。



「びびったあー、マジかっこいい」


莉子が呟く。



確かにカッコイイと思った。穏やかな雰囲気だけど、全く悪くない容姿。けど、不良っぽくない総長。



「残念、聖さんもう女いるからな」


「へぇ、そうなの?」


「そ、すげぇ美人」



来た時と同じように莉子と潤の会話を聞きながら階段をおりようとして。


少し違うのは、先頭は莉子達で。

私と裕太はその後に続いて階段をおりていた。

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