第92話

もう、自転車の後ろにも乗ることはない。


決めたのは自分なのに、どうしてこんなにも哀しくなるのだろう。悲しいのは薫の方なのに。











もう梅雨入り真っ最中の今日は、朝から一日中雨だった。湿気のせいで髪がゴワゴワする。



「────どうも」


放課後、傘をさそうとした私に話しかけてきたのは、薫の友達である聖だった。

聖はにこりと笑うと、「薫は?」と聞いてくる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る